映画『シルク』を観た。
公開当初から観たいと思いつつなかなかこちらの都合と時間が合わなかったりで先送りにしてるうちに元々多くは無かった劇場が更に少なくなってしまったが、間も無く公開終了になろうかというこのタイミングでやっと観る事ができた。
|||||[シノプシス:goo映画より]||||||
19世紀フランス。戦地から故郷に戻った青年、エルヴェは、製糸業を営むヴァルダヴューから、蚕卵を入手するためアフリカ行きを依頼される。危険な旅を経て、蚕卵を持ち帰ると、それで得た富で美しい女性、エレーヌと結婚。自らも製糸工場を経営し、結婚生活は順風万帆であった。しかし、アフリカの蚕が病気にやられ、新婚のエルヴェに再び買い付けの依頼が。しかも、行く先はアフリカより遥かに遠い日本だった…。
監督: フランソワ・ジラール
原作: アレッサンドロ・バリッコ 『絹』(白水社刊)
脚本: フランソワ・ジラール、マイケル・ゴールディング
音楽: 坂本龍一
出演: マイケル・ピット(エルヴェ)、キーラ・ナイトレイ(エレーヌ)、役所広司(原十兵衛)、芦名星(少女)、中谷美紀(マダム・ブランシュ)、アルフレッド・モリナ(バルダビュー)、國村隼(右門)、本郷奏多(少年) 他
結果から言うと(良い映画を観れて良かった)と素直に思う作品だった。
ストーリー上の物理的な事象自体は描きようによっては一大アドベンチャーにも匹敵するくらいの大仕事なのだが劇中では淡々と記録が披露されるに留まり、主人公と妻の心の動きを秀逸に行間描写している。
時には命の存亡に関わる様な事態でも淡々と追われ、時には何気ない小さな素振や愚かな男の愚行であったはずのことも美しかったり、幻想的だったり・・・・。
描き方によっては、このストーリー上で起こった事象は大どんでん返し付きに一大悲劇にもなりえたはずなのだが、観ている自然の流れでは全くそのような感覚にはならない。
そのどんでん返しに位置する事象でさえ、自然と予感できたり、予感できなかったとしても大きな驚き無く受け入れられる。脚本、演出上でそのように意図されて構成されていたものだろう。
心の迷いや、不安、自分への自信なさ・・・・、色々な気持ちが掛け合わさった瞬間の映像たちの美しさ、虚しさの断片が心深いところに残る。気持ちの描写が掛け合わせられることで同じ物事でもこんなにも違った見えかたをするのだろうか、と映画を振り返ってみるとあらためて感じる。
表層的な面白い・面白くないで語ると“つまらない”という意見も多い映画かもしれないが、私はずっぽりと製作者の意のまま・・・・かどおうかは実際のところ不明だが、確実にこの世界観に嵌って、この映画を愉しむことができた。
